<Mixing編>

Mixing編 Part.01

周波数について

 コーナーの冒頭に「レコーディングとミキシングでは別のスキルが必要だ」と書きましたが、EQ=イコライジングはそのどちらにも必要で音創りにおいて最も重要なテクニックの中のひとつです。

そして、このEQをする上でまず理解しておいて欲しいこと、それが「周波数」です。ミキシング全体としても“どの周波数帯域をどの楽器が支配するのか”等、各音源が主張する帯域、また必要のない帯域に敏感になることが、楽曲をまとめあげる上でとても重要になってくるのです。


§ 周波数とは?§


 イコライジングを的確にするにはまず「周波数」が何であるかを知ること。
EQをする時に必ず目にする、この周波数について簡単に説明しておきましょう。

周波数とは、1秒間に繰り返される電気振動の回数のことで、単位は「Hz」(ヘルツ)で表されます。
実際に人の耳に到達する音は、音源から発せられた“音波”が空気を伝わり鼓膜を振動させることで認識されます。その1秒間に繰り返される波の周期数が少ないほど音程が低く、多くなれば音程も高くなっていきます。(図1)

つまり、人の鼓膜はその波長を敏感に感じ取って“音程”として認識している訳です。ちなみに周波数が倍になれば音程は“1オクターブ上がる”ということもぜひ覚えておいて下さい。


図1-OK.jpg


§ 周波数帯域 §


 次は楽器から発せられる周波数帯域について説明していきましょう。「帯域」とはその周波数間の「幅」のことで、楽器の王様と言われる88鍵“グランドピアノ”は27.5Hz(A0)〜4,186Hz(C8)と、とても広い帯域をカバーする楽器。
オーケストラの楽器で言えば、最低音が出せるコントラバスから最高音のピッコロまで音程的にはすべてこの範囲の中に入ってしまいます。(図2参照)

 この事実が「ピアノは楽器の王様」と言われる由縁なのです。

図2_基音対応表New.jpg


 しかし、ここで疑問が生じます。図を見ての通り、ピアノの最高音C8は4KHz強ですよね?でも実際にはその4倍にあたる16KHzをイコライジングすることもあるし、デジタルは20KHzまでのサンプリング、再生能力を持っています。

つまり、実音的には存在が難しい超高域にも“倍音というものが存在している”ということです。

※倍音については次ページで説明しますが、下記音源を聴いてみて下さい。

1つ目はオーケストラの最低音、「コントラバス」の一般的に出せる最低音 B0 と 最高音 G#3 の音例です。




※2つ目はバイオリンの一般的に出せる最低音 G3 と 最高音 D7 の音例。




こんな感じで色々な楽器を図2の基音対応表と合わせてもらえると、音の高さと周波数がだんだん一致してくると思うので、ぜひ試してみて下さい。

次回は“倍音”について説明します。