Mixing編 Part.03

イコライジング

 Mixing編の Part1、Part2は「周波数」と「倍音」について解説しました。
初心者には少し難しい内容だったかもしれませんが、これらは的確なイコライジングするためにぜひとも知っていて欲しい基礎知識です。
今はピンとこないな、という方でもいろいろ実践を重ね、音に慣れてきたところでまた読み直してみるといいでしょう。

少しPart1のおさらいになりますが、イコライジングを正確に行うには周波数に慣れること」です。
例えばシグナル・ジェネレーターなどの発信器から出したその正弦波が何Hz(ヘルツ)なのかだいたい言い当てられるようにする訓練も有効です。


§ シグナル・ジェネレーターで周波数を感じる §


 まずは下の<PLAY BACK>ボタンを押して
音例を聴いてみて下さい。
ちなみに、広い周波数帯が入っていますので、ヘッドフォンや低音までしっかり出るスピーカーで聴いて下さい。

Sinal Jene_PT.jpg



[音例M3-1] ※再生レベルにはご注意下さい!


これはシグナル・ジェネレーターで110Hz 〜 7040Hz までを7段階に分けて再生したもので、最初に出てくる110HzはMIDI鍵盤で言うところの“A2”。そこから数値を倍々に、音程的には1オクターブづつ上がっていくように作ってあります。

ちなみに、ピアノ鍵盤上での最高音のAは 3520Hz(A7)で上記音源の最後に出てくる7040Hzはピアノの実音上では出せない音です。


①  110Hz (A2)
②  220Hz (A3)
③  440Hz (A4)
④  880Hz (A5)
⑤ 1760Hz (A6)
⑥ 3520Hz (A7)
⑦ 7040Hz (ピアの実音上にはない音程)


Aの音程が1オクターブづつ上がっていくのに数字は倍数になっているところに注目して下さい。

LinkIcon<Mixing編 Part.01>図2_基音対応表を参照


§ ピアノの音で試す §


 では次に実際のピアノ音で周波数をスウィープさせてみます。

APf_EQ Sweep.jpg



[音例M3-2]

いかがでしょうか。

周波数をスウィープさせていくと、この楽器の「いいところ」「悪いところ」時折見えてくる感じがしませんか?

ただ、今はかなりブーストアップしている状態なので、判断が難しいかもですが、そのことを踏まえて、もう一度聴いてみて下さい。

 ※もし自分で試せる環境があるならば、ぜひ実際にやってみて下さい。

この時の注意するポイントを挙げておきます。

  • 「10dB〜15dB」ぐらい、思いっきりブーストする
    • (音源が歪んでしまうような場合は、インプットレベルを下げて対処する)
  • Q(幅)は極端に狭めたり広過ぎないように調整すること

   以上、2点を注意して下さい。


 さて、先ほどのA.Pf音源 [音例M3-2] に戻りますが、
このスウィープさせて音源をチェックする方法は、

”広くミキサーが使う”その音源の

「欲しいところ」と「いらないところ」を探るための「基本のテクニック」です。


実際にはこのように一番下から一番上までをスウィープするのではなく、“この辺り”と目星を付けた周波数帯をスウィープさせてそのポイントを探るのですが、基本は「いるところ」も「いらないところ」もブーストした状態でスウィープさせて判断します。

15dBブースト2.jpg

  • スウィープさせて感じた
    • 「いいところ」→「欲しいところ」→ ブースト(Gain をプラス方向 ±0dB よりも上にする)
    • 「悪いところ」→「いらないところ」→ カット(Gain をマイナス方向 ±0dB よりも下にする)


§ いらないポイントを探す §


では試しにこの A.Pf音源 [音例M3-2] の「いらないポイント」を探してみましょう。
まずは画像を観ながら音例を聴いてみて下さい。

APf_EQ Cut.jpg



[音例M3-3]

手順をおさらいします。

  • ①ノーマルのQ(幅)でいらないと思われるポイントを探します
  • ②だいたい定まったところでQ(幅)を狭めていきます
  • ③そして、ー10dB程度カット
  • ④周波数スライダーを動かして微調整
  • ⑤Gain を上げ下げして、そのポイントが正しいかチェック
  • ⑥カットした状態で、オンオフしてチェック
  • ⑦カットする量を決定する


音例の映像では簡潔に説明するためにかなり急いでいますが、実際にはもっともっと慎重に時間をかけてポイントを探しています。

今回の音例でカットした2ポイントは音が「キンキン」してコードトーンの邪魔に聴こえてしまった部分ですが、この気になるポイントというのは人それぞれ違うところなので、「これが正解」というものはないと私は思っています。


 ここまで、イコライジングの基礎となる部分を解説してきましたが、

「イコライザーの基本姿勢は、あくまで “補正“ であると心得て下さい。」

 イコライジングには経験と慣れが必要です。

まずは楽器の「いいところ」「悪いところ」を的確に探し出せるよう、お手持ちのEQで遊んでみて下さい。

 自分なりの耳が鍛えられていくはずです。

音源出典:Big Fish>Jazz>115 NuJazz Piano 02_G